【画像処理】フラットフレーム撮影&フラット補正


フラットフレーム撮影&フラット補正

EOS6D2_2018_04_08_0003_2_top.jpg

ここ最近、中望遠の天体対象を撮影をするようになってから、画像の周辺減光が気になっていて、自分の中でフラット補正が一つの課題になっていました。

ただ、フラットフレームの具体的な撮影方法が良く分かっていなかったことや横着心から、今まで何となく敬遠していました。

しかし、、

急に気が向いたので、やってみました(゚∀゚)!

今や天体写真の世界では当たり前の画像処理工程の一つとなっているわけで、調べれば色々と先人の方々の情報が出てくるし、今更な内容ですが、フラットフレーム撮影の方法は色々とあるようなので、厳密な部分で正解かどうかは分かりませんが、自分なりに理解した方法で試してみたので、覚書メモにしておくことに。




(1) 前提条件

・撮影タイミング:後日撮影
ライトフレームを撮影した後、薄明時間帯の空を利用して撮るという効率的な方法も多いようですが、私の場合、この時間帯は睡眠撮影していることが多いので(^^;後からでも撮影可能な方法とします。


・撮影場所:自宅(屋内)
フラットフレームの撮影は、基本的にライトフレーム撮影時と同じ光学系で撮影する必要があるので、後日撮影で、わざわざ外出して機材組んで撮影するのは面倒なので、自宅の室内で撮影できる方法とします。


・フラット補正処理:既存ソフト利用
撮影したフラット画像は、既存のソフトで処理することを前提にします。
ちなみに現在使用しているコンポジット処理ソフトは、DeepSkyStacker ver.3.3.4



(2) 手順

まずは全体工程の手順のおさらい。

1. フラットフレーム撮影用の機材工作

2. カメラレンズへの組付け

3. 撮影環境の準備

4. 撮影条件設定&撮影

5. フラット補正処理


1. フラットフレーム撮影用の機材工作

フラットフレームは、ライトフレームを撮影した光学系の周辺減光やセンサ上の埃などによるムラのみを写した画像で、これをライトフレームからキャンセル(除算)することで、周辺減光やセンサ付着ゴミの影響を除去することが可能になります。
フラットフレームは、階調が飽和しない範囲で一様な光源を背景として撮影する必要があります。


・光源の拡散

一様な背景を撮影するための光源の拡散には、今回、乳白半透明のアクリル板を使用しました。
後日室内撮影するという前提で、光源が都合よく均一であるとは限らないので、適度に拡散率が高そうな板厚2mmのものを選定しました。
(近所のホームセンターで1枚680円)

IMG_3794.jpg
IMG_3791.jpg

・レンズとの固定部

上記のアクリル板をレンズ前面に取り付けて撮影すれば良いのですが、今後何度も撮影することを考えると、簡単かつ安定して脱着出来るようにしたいので、ゴム材でDIYすることにしました。

IMG_3784.jpg
IMG_3780.jpg

軽量ながら適度な硬さのスポンジゴム板(厚さ20mm、1枚358円)。
後で気付きましたが、天然ゴム系なので、いずれ劣化しそうです(^^;


IMG_3785.jpg

ゴム板に現物合わせでレンズ外径サイズの孔加工を施し、レンズに固定出来るようにします。


IMG_3786.jpg

ゴム板表面とレンズ前面がツライチとなるよう孔サイズを微調整します。


IMG_3801.jpg

ゴム板上に先のアクリル拡散板を置くとこんな感じです。
ゴム板とアクリル板の接着も考えましたが、後の融通性を考えて、現状は撮影時に輪ゴムなどで一体固定させることにしました。


IMG_3803.jpg
アクリル板の光源拡散性はなかなか良さそうです。



2. カメラレンズへの組付け

ゴム板の孔にレンズを差し込み、ゴム板とアクリル拡散板を輪ゴムで固定して完了です(^^♪

IMG_3810.jpg
IMG_3808.jpg

ちなみに、もし背景の光源が明るすぎる場合にも対応できるように、スモーク透明のアクリル板も準備したので、必要に応じて重ねて使用します。



3. 撮影環境の準備

フラットな背景(光源)として部屋の壁を使います。
後は露出設定が適用範囲内に入るよう適度な暗さに部屋の照明を落とせばOK。

IMG_3811.jpg


4. 撮影条件設定&撮影

・撮影条件設定

色々と調べたところ、撮影条件設定の最適解には諸説ありそうですが、まずは以下としてみることしました。

・光学系:ライトフレーム撮影時と同じ

・ピント:ライトフレーム撮影時と同じ

・SS:数秒以上

・F値:ライトフレーム撮影時と同じ

・ISO:ライトフレーム撮影時と同じ

・WB:ライトフレーム撮影時と同じ

・ノイズリダクション:ライトフレーム撮影時と同じ

・撮影枚数:多い方が良い?(現実的には手間と時間を考えて8~64枚くらい?)


露出はシャッター速度(SS)で調整し、撮影画像のヒストグラムのピークが左(暗側)から2/5程度に来るようSSの秒数を設定。
なお、SSがあまり速い(1秒以下など?)場合、フラット補正に失敗するケースがあるとの情報もあったため、少なくとも数秒以上掛けることにします。

IMG_3809.jpg

・フラットダークフレーム

フラットフレームの撮影後、フラットフレーム自体の長秒ノイズ・高感度ノイズを平均化するために、同じ条件でフラット画像のダークフレームを複数枚撮影しておきます。
※レンズキャップを取り付けて撮影するだけ。



5. フラット補正処理

ライトフレームとフラットフレームのコンポジット処理には、既存ソフトであるDeepSkyStackerを使用します。

やり方は至って簡単。
ソフト起動後、フレームの種類ごとに画像を読み込みます。

・ライトフレーム

・ダークフレーム

・フラットフレーム

・フラットダークフレーム

(※オフセット/バイアスフレームはまだ未勉強で使っていません。)

あとは、“Register checked pictures” から、各フレーム種類のコンポジットアルゴリズム(Average, Median, Maximum等)や、星像の検出レベル等を設定し、“OK” して処理を開始するのみです。
細かい設定については、本題から外れるので、ここでは割愛します。

DSS画面


(3) テスト施行

実際にテスト撮影~フラット補正処理まで実施してみました。

・テスト画像
テスト画像には先日和歌山のすさみ町遠征で撮影したコーン星雲&バラ星雲の画像(↓)を使用します。

EOS6D2_20180218_2_2(2).jpg

以下の条件で撮影・処理した画像ですが、フラット補正はしていません。
HII領域を炙り出すために強調処理しているので、かなり周辺減光が目立っています。

DSLR: Canon EOS 6D Mark II SEO-SP4
Lens: Canon EF100-400mm/f4.5-5.6L IS USM, 200mm
Light flame: SS=60sec, f5.6, ISO=6400, RAW x108pc
Dark flame: x24pc
Flat flame: N/A
File conversion: DNG Converter 10.0.0.827 (CR2⇒DNG)
Composite: DeepSkyStacker ver.3.3.4
Photo retouch: Photoshop CS5


この画像の元画像であるRAWファイルをフラット補正含めて再処理します。


・フラットフレーム撮影

ライトフレームと同じ光学系(カメラ、レンズ)に、先に工作したフラット撮影用のアクリル拡散板を取り付け、部屋を適度に暗くして撮影します。
カメラ設定は上述の通り、シャッター速度以外はライトフレームと同じ値に設定。

試し撮りしながらヒストグラムのピークが左から2/5程度に来るようSSを決定し、本撮影に入ります。
今回はコンポジット用に同じ設定で32枚撮影することにしました。
実際に撮影したフラット画像がこちら(↓)

EOS6D2_2018_04_08_0003.jpg

周辺減光やセンサ上の埃の様子を分かりやすくするために強調処理してみるとこんな感じです(↓)

EOS6D2_2018_04_08_0003_1.jpg

周辺減光で画像の四隅が暗くなっている様子やセンサ上の埃(黒い点)がよくわかります。
フラット補正によって、これらをほぼキャンセルすることができます。


・フラットダークフレーム撮影

ライトフレームのダークフレーム撮影と同様に、フラットフレームのダークフレーム(フラットダークフレーム)を撮影します。
こちらも同じく32枚撮影しました。
※フラットとフラットダークは別に同じ枚数である必要はありません。
撮影したフラットダーク画像(↓)

EOS6D2_2018_04_08_0037.jpg

・コンポジット処理

次にDeepSkyStackerを使用して実際にコンポジット処理した画像を見てみましょう。
こちら(↓)がコンポジット後の画像。


フラット補正なし

20180223_1.jpg

フラット補正あり

20180223_1_108pc_flat.jpg

合成画像は、基本的に階調を損なわないようにニュートラルグレーの状態で保存するので、この状態ではあまり違いが分かりませんね(゚∀゚)
フラット補正有無で若干処理後のRGBピーク位置が変わっていますが、除算するフラット画像のRGBの影響かな?(※勝手な想像です(^^;)
では、次に違いが分かるよう炙り出し強調処理を行った画像で比較してみましょう。


・強調処理後画像

星雲の炙り出しを行った画像比較です。
元のRGBバランスが異なるため、全く同じ処理ではないので単純比較はできませんが、強調度合いはそれほど大きく違いません。


フラット補正なし

EOS6D2_20180218_2_2(2)_201804082344055ef.jpg

フラット補正あり

20180223_1_108pc_flat_sh_02_25_2_trim.jpg

見ての通り、周辺減光のキャンセルに成功しました。

周辺減光があると背景宇宙の色の濃さがどの程度なのか分かりにくく、星雲との対比が表現できないのですが、背景がフラットになると星雲やガスが宇宙に浮いている雰囲気が上手く表現できてやはり良いですね(*'▽')
やってみるとそれほど煩雑ではなかったので、今後はフラット補正必須ですね(^^♪
とにかく何とか成功してよかったです。
天体写真は、他の写真分野とは撮影工程も画像処理工程も全く異なるので、本当に奥が深いと感じます。
その分、一筋縄でいかないことも多いので、上手く出来たときの喜びは大きいですね(゚∀゚)





テーマ : 天体写真    ジャンル : 写真
 2018_04_08


Comments

 

あーちゃーさんおはようございます。
色々研究されてますね、どうしても撮影地でのフラットとかは薄明のタイミングなどありうまく行きません(私の場合)暇なので試して見ます。あと一週間ですがお天気が(?_?)
夕焼け熊五郎  URL   2018-04-09 07:58  

 

>夕焼け熊五郎さん、こんにちは^ ^

今更ですけどやっとフラット覚えました笑
仕上がり全然変わりますね笑
もっと早く手を付けておけば良かったな〜と思いました^ ^
薄明中は明るさがどんどん変わっていくので皆さんどうやって調節してるのかな〜とかまだまだ疑問はたくさんありますけど、とりあえずこれから赤い子たちが本番なので楽しみです^ ^
今月はまたご一緒出したいですね!
あーちゃー  URL   2018-04-09 12:35  

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